2026年10月21日、Microsoftは、中国の国家とつながりがあるとみられる攻撃グループ「Storm-0940」が、AIを使う侵入テストツール「ARTEX」で攻撃を自動化し、数百の組織を狙っていたと報告しました。最初に狙われてから3時間足らずで、クラウドの管理者権限まで奪われた例もあったとしています。
AIが攻撃を自動で進める「ARTEX」
Microsoftの報告によると、ARTEXは、複数のAIが連携して動き、下調べからデータの持ち出しまでを自動で進められる侵入テスト用のツールです。誰でも入手できる形で公開されていて、どのAIモデルとも組み合わせて使えます。
Microsoftは、このツールが複数の地域の、複数の攻撃グループに使われているとしています。
どんな攻撃だったのか
Storm-0940は2021年から活動しているグループで、主にデータを盗むことを狙っているとされています。今回狙われたのは、防衛、エネルギー、金融、政府、製造、半導体、ソフトウェアなど、さまざまな業種の数百の組織です。
- 10月10日〜14日には、8つの組織の327のアカウントに対してパスワードを総当たりで試し、15万1,000回以上ログインに失敗しています(この攻撃でログインに成功した例は確認されていません)
- 攻撃の多くは失敗したものの、多くの組織で、管理者の権限を持ったまま居座ることに成功しています
- 最初に狙われてから3時間足らずで、クラウドの管理者権限を奪われた例が複数ありました
取引先のサービスを足がかりに
Microsoftは、このグループが、バックアップサービス「ConnectWise Cloud Backup」を足がかりにした攻撃にも関わっているとみています。この攻撃では、利用企業のMicrosoft 365にもともと与えられていたアクセス権が悪用され、2,250以上の利用企業の環境でログインが試されました。
なお、Microsoftは、自社のシステムや製品が破られたわけではないとしています。また、ログインが試されたからといって、データが盗まれたとは限らないとしています。
日本でも同じツールが
JPCERT/CCは、国内で相次ぐ不正アクセスについての注意喚起を10月23日に更新し、確認されている手口に「AIを用いたペネトレーションテスト基盤の悪用」を加えました。ARTEXなどのツールを使って、インターネットに公開されているWebアプリケーションの弱点を探したり、設定ファイルやバックアップファイルを盗もうとしたりする動きが見られるとしています。
JPCERT/CCは対策として、次のような点を挙げています。
- 古いバージョンのソフトウェアを使っている場合は、修正版を適用する
- 業務に必要のないサービスや管理機能がインターネットに公開されていれば止める
- 不正アクセスを見つける仕組みと、見つけたときの最初の対応を点検する
- 保存期間を過ぎたデータや、使い終わったデータを削除する
KAROYAイージスからひとこと
今回の報告は、攻撃者がAIを使い、攻撃の下調べから侵入までを速く・大量にこなせるようになってきたことを示しています。守る側も、自社のシステムを攻撃者の目線で一度確かめ、どこから入られうるのかを知っておくことが大切です。KAROYA イージスのペネトレーションテストでは、技術開発・監修パートナーである株式会社フォアーゼットの監修のもと、ホワイトハッカーが実際に社内システムへの侵入を試し、侵入できるか、被害がどこまで広がるかを確かめて対策レポートにまとめます。お気軽にご相談ください。
出典
Microsoft Security Blog「AI-driven, large-scale nation-state campaign using ARTEX enables supply chain compromise」(2026年10月21日) 記事を見る